「ナチパンクス・ファックオフ!(ファックオフ!)」


「下品な言葉を2回も言うな」


「ブックオフ!」


「それならよろしい」


「近所のブックオフは『NIRVANA』の『nevermind』に2250円もつけてたよ。中古で
その値段だったら新品買うよね」


「へー、高いな」


「『METALLICA』の『reload』にも同じ値段ついてたよ。250円でもいらないのに」


「それはちょっとお前・・・そのアルバムが好きな人だっているだろうに」


「いないよ、そんなヤツ」


「言い切るなよ!」


「ブックオフの話じゃなくて、『NAPALM DEATH』ね。『NAPALM DEATH』はね、デ
スメタルとかコアとかなんだかそのへんの物騒な音楽を煮詰めて煮詰めて、妙な
臭い(死体みたいな)がしてきたそれをハートの型に流し込んで冷凍庫に入れて2
時間、先輩、手作りチョコです! 超本命です! 死ねます、わりと! みたいな
音楽」


「よくわからん」


「もた子もよくわからん」


「とにかく、速くてうるさいんだろ?」


「そうそう」


「そう言えよ」


「そんな言い方したら、ここで紹介するバンドがみんな『速くてうるさい』になっちゃう
もん」


「そっかそっか。同じ速くてうるさいでも、実際はバンドごとに違った魅力があるん
だもんな。あたしにはわかんないけど」


「いや、みんな一緒だ」


「お前がそんなこと言うなよ!」


「こんなもん聞き分けてんのはオタクだオタク」


「あーぁ、言っちゃった」


「いいじゃん、もた子ちゃんから見たら可愛い可愛い愛すべきオタクどもですわよ。
こだわりの分野を持ってる男性ってス・テ・キ(はぁと)」


「おー、なんだなんだ、どういう風の吹き回しだ」


「真乃緒ちゃんもたまには『女』をアピールしてかないとダメだよ」


「うわ、腹黒! あたしはいいよ」


「また人をブラウ・ブロみたいに」


「お勧めはなんなの? その、なんだっけ、『なぱーむです』の」


「お勧めかー・・・なんだろうね。とりあえず、もた子は『enemy of the music
business』が1番好きだよ」


「それはなんで?」


「他のアルバムよりも、ストレートでスカッとする曲が多いからかなぁ。シンプルな
がらもバキバキに張り詰めたテンションと攻撃性をアルバムの最後まで持続させ
てるし、ラスト6曲のカヴァーも嬉しいよね。お約束のナチパンクスも入ってるし」


「おぉー、なんか、なんかすっごい久しぶりにそんな言葉聞いた」


「なにが?」


「だって、お前いっつも不真面目じゃん。こないだだって『火星人がー』とかワケわ
かんないこと言ってたし」


「しょうがないよ、月に1回は来るんだし」


「まぁ、女である以上それはしょうがないけど」


「火星人なのに月とはこれいかに。月面基地! 月面基地!」


「うるさいよ。余計なこと言っちゃったかな」


「マイク! あなたの一族には本当にお世話に・・・」


「それはもういいっての!(ゴツ)」


「ま、真乃緒ちゃんからの攻撃の正体がつかめない!」


「ゲンコツだ、ゲンコツ」


「なんだ『げんこつ』って。ウィザードリィか」


「いいからまとめろよ」


「あいあーい。『NAPALM DEATH』はカコ(・∀・)イイ! 以上」


「さて、帰るか」


「あ、待って待って! もた子ちゃんのロッカーがさぁ、なんかひしゃげて開かなくな
っちゃったんだよね。真乃緒ちゃんなら開けられるでしょ、開けて」


「なんだよ、なんでロッカーひしゃげてんだ?」


「掃除のときに、机ぶつけちゃってさぁ」


「普通にぶつけてこんなんなるかよ、まったく。うぐぐぐぐぐ、固い・・・」


「がんばれがんばれ」


「うりゃっ、開いたぞ!」


「おぉっとばくだん!」


「なに!?」