「MXのメタルチャットに入ったらいきなり呼び捨てにされたあげく中指立てられて、メロスピ顔文字厨に蹴られたもた子でーす、ぼえぇ」


「なにしてんだお前」


「リクエストにお答えして、今日は『MORBID ANGEL』」


「どういう感じ? 音とか」


「デス」


「あぁ、あたしがダメなやつだな」


「ダメって言うなよ。モビっつったらデスメタルの帝王だよ?」


「帝王だかなんだか知らないけど、そのジャンルがもうダメだ。やったらに速いし、曲は全部同じに聞こえるし、どこがサビだかわかんないし、そもそもあの歌声」


「なんか文句ばっかり出るなぁ」


「あれ、歌ってるのみんなジャイアンだろ?」


「ジャイアンは作中で『ロックは嫌いだ、歌謡曲にしろ』って言ってたから、デスメタルとジャイアンは関係ないよ」


「そういうことじゃなくて、あの歌声がな」


「じゃ、ジャイアンはデス歌謡を歌ってたってことか、先進的だなぁ。デス声で『おいらの〜愛よ〜♪』聞きてぇー」


「聞きたくないよ」


「真乃緒ちゃんにとって、音楽っていうのはやっぱり『メロディ』なんだよね。もちろん音楽なんだからある種のメロディは必要なのかもしれないけど、それが前面に出てこないと理解できないってのはどうかなぁと思うよ」


「なんだよ」


「人の好き好きだから別にいいんだけどさ・・・・デスっていうのはメロディよりも音の重圧感で押してる音楽だからさ、まずそれを理解しないと」


「そんなこと言われてもなぁ」


「メロディのあるデスを、敢えてメロデスって言うでしょ。でもさぁ、デスにまったくメロディがないわけじゃないんだよね。さっきも言ったけど、それは前面に出て来ないだけなんだよ。デスっていうのは、わざわざくっさいクラシカルフレーズなんかで飾らなきゃいけないほどメロディに乏しい音楽じゃない。ハリケーンみたいな暴音のなかに、きちんと感動的なメロディが隠れてるんだよ。ちゃんと聞け、バカ」


「バカってなんだよ」


「そこで、モビね。禍々しく、荒々しく。引きずるように重く、薙ぎ倒すように速く。病的なまでにドス黒い音こそ、モビの音。デスに必要な音のすべてが入ってて、デスに不必要な音はまったく入ってない。だから、デスの帝王って呼ばれてるんだよ」


「帝王ねぇ・・・」


「それに、モビの音は実はそんなに速くない。モビより速いバンドなんかいっぱいある。速くできるのに敢えて速くしない。重さの美学だ! それも、モダンヘヴィネスが求めた重さとは違う、音圧による存在感。聞く人間の脳にズリズリと這いずったあとを残すのが、モビの音であり『正しいデス』なんだよ」


「音楽に正しいも正しくないもないだろ」


「正しいと感じたのはもた子の主観だから、他人が気にすることないんだけど。ヴォーカルもギターもベースもドラムも一つの世界観を作るために動いてて、その音の一つ一つがバンドのサウンド背景を作りこんでいく過程を楽しむのがメタルの魅力の一つじゃないかなぁ? モビを聞くと、いつもそう考えちゃうよ」


「他のバンド、例えばメロデスとかメロスピはそうじゃないって?」


「いやぁ、そんなことない。なんか、アレ、なんか勘違いしてるね真乃緒ちゃん。もた子は、メロスピは『ァアアアァァァー! アァー!』って叫ぶほど超大嫌いだけど、メロデスは嫌いじゃないよ。CDもいっぱい持ってるし、独自の音域に入ってるバンドもいっぱいあると思ってるよ」


「そんな、叫ぶほど嫌いなのか」


「で、えぇと、なんだっけ。そうそう、あのね、すっごく極端な例を出すけど、イングヴェイとかは一人で世界観を作る人なんだよ。あの人は天才だからね、だからギター聞くだけで『インギーだ』ってわかる。でも、他のバンドはそうじゃないよね。インギぐらいの天才ってそんなにいないしさ、そしたらみんなで世界観を構築することになるでしょ。そのときに、『ギター、その他メロディ楽器とヴォーカルだけ』でやるのと、モビみたいに『メンバー全員』でやるのとだと、違いがハッキリとあらわれるってことだよ」


「お前の言い方だと、ハッキリとわからん」


「うおー、もた子は何が言いたいんだー!? えぇと、モビはみんな頑張ってていいねって話」


「なんだそりゃ。そんなのみんな頑張ってるよ」


「ウワァァァン、どうせもた子は比較論でしかバンドを語れないよー! ごめんよー、全国のメロスピ厨のみんな、ごめんよー! もた子はお前らが大嫌いだよー!」


「謝ってるのかケンカ売ってるのか、どっちだ」


「でも、『CHILDREN OF BODOM』は最近ちょっと見直してマス!」


「あれはメロスピじゃないだろ・・・」


「メロスピみてぇなもんだろ、ぼへぇー。まぁとにかく、見直してマス!」


「モビはどうしたんだよ・・・」


「重く重く重く、足に繋がれた鋼鉄の重りの如く聴覚と脳髄を冒す鉄壁の暗黒サウンドカーテン。それこそがモービッドエンジェルでありデスメタルなのだよ!」


「ん、そうか」


「超興味ないじゃんかよ! なんだよ!」


「デス、嫌いだ」


「嫌いって言うなよバカ!」


「でぇー? オススメとかあるのかー?(ごろごろ)」


「横になるなよぉ! オススメは全部、全部聞け! もた子が一番好きなのは
『covenant』、いや、『formulas fatal to the flesh』かな」


「そうかぁ」


「やる気あるの? ねぇ、どうなの?」


「ある。あるある。あるよー」


「ないじゃんかよ」


「あるある。おねいちゃんがんばるぞー」


「頑張ってないよ。やる気ないじゃん」


「あるってばさ」


「じゃ、あるぞっていうとこ見せてよ」


「モビはー」


「うん」


「なんだかんだ言ってうまいデスメタルかな。曲の細かいところほど手がこんでるから、パッと聞くと音の密集に閉塞感すら感じる。でも、それが腕でありテクなんだよね。そのぶんサラッと聞き流せないんだけど、それはやっぱりデスだからそういう体当たり的ガチンコサウンドが良いと思う。もた子が言ってた世界観、世界観だったか? そういうのは雰囲気出てるし、やっぱり貫禄なのかなぁ、ジャケ通りの背徳的な内面狂気サウンドはさすがの一言に尽きるね。ただ、わかりやすいメロディみたいなものは影を潜めてるから、初心者さんにはやっぱりシンドさが前に立つかもしれない。それでも10回聞けば全体を通した方向性というか、各パートが一体化したメロディを超越したメロディみたいなものを感じると思うから、そこまで行けばモビの魅力を理解したと言えるんじゃないかな。もた子は重い重いって言うけど、その重さの裏にあるシャープな切れ味みたいなものも感じて欲しいね」


「もうお前、一人でやれよウワァァァァン!」


「デスは嫌いだ〜♪ アァァ〜♪」