「ほぇ(死体の口に塩を縫い込みつつこんばんは、の意)」


「ふふふ・・・」


「今日のバンド紹介は『CANNIBAL CORPSE』っていうデスメタルバンドだよ」


「・・・・・・・・・・・・・・・・」


「真乃緒ちゃん?」


「ふふふ、だれが巨人症女だと?」


「あー! なんだ、だれだおまえはー(棒読みで)」


「ふふふ、なんだかんだと聞かれたら!」


「なんだ、ロケット団か。ピカチュウだったらここにはいないよ」


「違う! わたしの名前をいつになったらおぼえるんだ!」


「うるっさいなぁ、華弐いばるだろ。その光るデコ見たらわかるよ」


「『CANNIBAL CORPSE』の紹介だと言うのに、わたしを呼ばないとはどういう
こと? 納得の行く説明をしていただきたいわね!」


お前が嫌いだから


「くっ!」


「でもちょうどいいや。もた子じゃデスメタルってよくわかんないんだよね、あんたか
わりに紹介してよ」


「あら、あなたの家では、人にものを頼むときに頭も下げないの?」


「じゃいいや」


「ま、待ちなさい!」


「うるさいなぁ、早く帰れよ」


「で、デスメタルの『D』も知らないような無教養な人間に、『CANNIBAL CORPSE』を語らせるわけには行かないわ!」


「どうしたいんだよ、おっぱいオバケ」


「今回は特別にわたしが紹介を務めてあげると言ってるのよ、頭の回転の遅い
娘ね!」


「あんたは生理周期が遅いけどな」


「な、何を・・・! デマカセだわ、証拠を出しなさい!」


じっちゃんの名にかけて!


「(この娘のテンションにつきあってはいけない・・・)とにかく、わたしが紹介するからな! 文句ないな!」


「あぁ、やれば」


「(ぐぐぐ)『CANNIBAL CORPSE』というのは、フロリダ出身のデスメタルバンド
で・・・」


「しつも〜ん、デスメタルってなんですか〜」


「そこからなわけね。よろしい、説明しましょう」


いや、いいよ


「じ、自分から聞いてきたんでしょう!?」


「聞くの面倒だから、いいよ」


「説明してあげるから、よく聞きなさい! デスメタルというのは、ブラストビートと呼ばれる超高速のドラムにノイズの塊であるギター&ベースサウンドを乗せて、そこにデス声と呼ばれる、吐くようなうめくような声の咆哮をMIXさせた超暴力的破壊音楽のことよ!」


あっそ


「キー! 何なのよ、その態度!」


「あんたこそ、キー!って何よ、いつの時代のマンガよ。昭和? 一人昭和?


「うぐぐ、と、とにかく、それがデスメタルというものね! その中でも、『CANNIBAL CORPSE』というバンドはクリス・バーンズという人外の領域の低音デスボイスで人気を博し・・・」


「とっくに脱退してるけどね」


「よ、余計なチャチャを入れないで!」


「余計な赤ずきんチャチャを入れないで!」


「(我慢、我慢よ、いばる)まぁ確かに脱退こそしてしまったけど、クリス在籍時のアルバム『tomb of the mutilated』は、マニアも納得の名盤で・・・」


「あの、死体の股間にゾンビが顔突っ込んでるジャケットのやつね」


「(間違ってない、間違ってない)・・・わたしも、多くのマニアに追従するかたちで、そのアルバムを薦めさせてもらうわ」


「だれに?」


「え?」


「だれにお勧め?」


「あなた、そんなこともわかってないの?」


「うん」


「ま、恥ずかしげもなく。だれにお勧めって決まってるじゃない、それは・・・」


「この文章読んでる人たち?」


「そうよ。わかってるなら聞かないでくれる?」


「ほぇ、わかってるから聞いたの」


「またわからないことを言う娘ね」


「だって、あんたがお勧めしてるの、デスメタルだよ?」


「そうよ?」


「これ読んでる人たち、メタルのメの字も知らない人たちかもよ? そんな人たちに
デスメタルお勧めするの? もた子ならしないなぁ」


「そうね・・・確かに、メタルを何も知らない人たちには、デスメタルはハードルが高いわね。でも、メタルを知っている人が読んでいたら? お勧めする理由だってちゃんとあるわよ」


「メタル聴く人たちだって、『デスはちょっと・・・』って人多いよ」


「デスに興味を持ってる人間だっているでしょ?」


「そんなデスメタラーは、とっくの昔にあんたが言ってる名盤聴いてるよ。
つまり・・・」


「な、なによ」


「あんたの言ってること、全部ムダ


「な、な、な・・・」


ナッパ?


「違う!」


「そりゃ違うよね、戦闘力4000しかないもんね」


「わけのわからないことを言わないで! もし、わたしの薦め通りにこのアルバムを買う人がいたらどうするつもり?」


「そうだね、そのときは・・・ヴァーチャルメタルネットアイドル・いばるを名乗れば?」


「ほほぅ・・・主役の座を明け渡すというわけね」


「あんた、自分が脇役だってわかってたんだ」


「だ、だれが脇役・・・! その言葉、忘れないでほしいわね!」


「じゃ、逆にさ、そんな人間が出てこなかったら? そのときは・・・」


「な、なによ」


「ほぇ、ちょっと・・・この近所に、SMショップなんてあったかな、と思って」


「ななななな、何を考えてっ! おまえはっ!」


だまらっしゃい!!


「〜〜〜〜〜〜っっ!!」


「待ての合図があったなどと、真剣勝負の場では通用しない!」


「そんな要求、飲めると思ってるの!?」


「いばる! お前が泣くまで、縛るのをやめない!」


「うぐぐ・・・」


「とにかく、約束は約束だよ。あとで『やっぱなし』なんて、あたしが許しても、ディス
プレイの前のおっきいお兄ちゃんたちには通用しないからね」


「く、面白い。あなたこそ、約束を忘れるんじゃないわよ!」


「ほぇほぇ、あー楽しみ楽しみ。長生きはするもんじゃて」


「〜〜〜〜〜〜〜っっ!!」