私が本を手にとって購入するかどうか迷ったときには、大抵、まえがき・あとがき・目次をざっ と立ち読みしてみてから決めることが多い。この本もそうだった。だって、失礼ながら著者のこと 全く知らなかったんだもんね。で、結局面白そうだったので購入することにした。ある晴れた日の 昼下がりに、テラスで椅子に腰掛け、紅茶でも飲みながら、太陽を灯にリラックスして読める文体 だと思った。(尤も、ここんとこ雨続きだし、オイラにはテラスなんて場所持ってないし、そんな ブルジョワな生活なんて現状ではあり得ないんだけど:-)
さて、本書を読み終えた感想はというと・・・なかなか面白い。日本の社会は学歴社会とも言わ
れるが、かと言って日本人がみんな学歴社会を快く思っているわけでもない。多くの人は、学歴偏
重はよろしくない、と言う。飲み屋なんかで一般論として演説ぶるときには。が、自分が当事者に
置かれると、なぜか学歴を重宝する、あるいは高学歴を手にいれようと受験勉強に励み、また自分
の子供にそれを期待する。
一体なんなんだろうか?学歴って・・・
著者は、学歴社会からなかなか抜け出せないでいるのは、江戸時代以前の身分制度が現在の日本
人の意識に染み込んでいて、学歴が現代版の身分制度の役割を演じていると言う。明治政府は、士
農工商という身分制度を廃止して、四民平等を建前として唱えはしたが、役人として採用するのは
結局のところ武士階級が多かった。そこで、大学の設立を急いだ。著者は、学歴を「後天的な身分
」と定義するのが一番すっきりする、と書いている。
学歴のユニークな点は、「社会的な役割としては身分と同じ機能を果たしていながら、それが固定 的でない」ところにある。言い換えるなら、「獲得可能な身分」であり「世襲不能な身分」がすなわち学歴なのである。納得できない方も多いだろうけど、一考に値する定義の仕方ではないかと思う。
引用:pp.66
なんかね。多くの人が、学歴社会はよくない、って思いながらも、現実には受験競争の低年齢
化が進んでいるっていう現状。受験戦争とはよく言ったもので、これは戦争とよく似ている。誰も
戦争を望んでいる人などいない。「有史以来、人類は戦争に反対しているのです」(by 海江田四郎
, 沈黙の艦隊(^^;;)。でも、いざ戦争が始まると、人は銃を手にとり、戦場に向かい、人を殺す。
当事者にしてみれば、殺さなければ殺される。殺されないためには、勝利し続けなければならない
。
受験戦争も、きっと同じなんだろうなぁ。
新聞、テレビ、雑誌なんかで、学歴のことをなかなか取り上げようとしない。結局のところ、学 歴社会にどっぷり浸かった報道関係者には、学歴社会が崩れてもらっては困るのだろう。(だって,メシのタネになってるんだから)
ま、ちょっとやそっとじゃこの問題はケリがつくはずもないので、この辺で。
人はなぜ学歴にこだわるのか。 (2000)
小田嶋隆著
メディアワークス
ISBN 4-8402-1647-9