TSUYOSHIの読書日記



2001年4月13日
日本の軍事システム
〜自衛隊装備の問題点〜
江畑謙介著

 この本は、現在の自衛隊について装備の点から分析している。これは当然、軍事力というものを客観的に分析するには、ある程度視点が限られてしまうからだ。例えば、兵の士気、練度などは主観的なものとなってしまう。
 1冊の本を一言で語るなんて、おこがましいとは思うが、あえて言うならば「費用対効果を考えよ」ということだろう。著者によれば、まだまだ無駄が多いのだそうだ。とは言え、この無駄も、元を辿れば納税者である国民の選択だと言える。つまり、納税者である国民はもっと自らの税金の使われ方(ここでは防衛費)に監視の目を光らせるべきだろう。

 さて、若干話がずれるが、今から4〜5年前、とある自衛隊関係者から「ロシアが北海道に侵攻してくると思うか」という質問を受けた。その時、私は「日本がアメリカと日米安全保障条約を結んでいる限り、それはないと思う」と答えた。何と甘い考えだ、と思うかもしれないが、ここで少し補足しておきたい。
 まず、基本的に帝政ロシア時代やソ連邦時代においても、そしておそらく将来においてもロシアが南下政策を採ろうとする誘因は消えないだろう。これは、良好な港を求めてのことである。クリミア戦争、日露戦争、そして第二次大戦終了間際での千島列島に対する行動はその一例だろう。従って、現在でも先の自衛隊関係者のように、ロシアが北海道に侵攻してくる可能性を議論することは、極めて有益なことだと思う。

 ではなぜ、私は「それはないと思う」と答えたのか。ロシアにとって、今正面切って敵にしたくないのは、自衛隊ではない。米軍である。現在の日米安全保障条約では、日本が他国から攻められた場合、アメリカは日本を守ることになっている。これは、いざ事が起こった時には、本当にアメリカは日本を守ってくれるのかという疑問はあるだろうが、日本側からアメリカに本土防衛のための協力を要請する名目にはなる。ただ、あくまでも名目上のことだが。
 私は、もし万が一ロシアが北海道に攻めてきたならば、米軍は自衛隊とともに日本を守る行動に出るだろうと思っている。なぜか。それは、ロシアが北海道(あるいは一部)を占領することは、アメリカの国益に適わないからである。ロシアが北海道を占領するということは、一年中、太平洋に出入りできる良好な港を手に入れることを意味する。現在、広い太平洋の制海権を握っているのは、アメリカであり、おそらくその座を他国に譲るようなことはしないだろう。米軍は、アメリカとその国民の生命・財産を守るために存在している。それ以上でもそれ以下でもない。

 従って、アメリカは、自国の国益を守るために、日本と共同して事に当たるであろうし、それが高い可能性で見込まれる限り、ロシアが北海道に攻め込んでくることはないだろうと考える。
 改めて言うまでもないが、日本を防衛する主体は自衛隊である。自分で自分を守るのは当然のことだから。

 私は、軍事の専門家ではないが、この本を読んでふと思い出した。


日本の軍事システム〜自衛隊装備の問題点〜 (2001)
江畑謙介著
講談社
ISBN 4-06-149543-7


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