| top 石原版オリンピック招致運動に だまされてはならない 私は「反対討論」に立ちました 石原都知事の露骨な大開発至上主義によって、 都財政は再び破綻しかねない状況にある ―― 自民、公明など提出の決議案に反対討論 ―― 2007.10.12 |
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ただいま上程の議員提出議案第21号「第31回オリンピック競技大会並びにパラリンピック競技大会の東京招致に関する決議」について、日本共産党北区議員団を代表して反対の討論をします。
⇒ 招致運動の提唱がトップ・ダウン 石原慎太郎都知事は、オリンピック招致運動を始めていた福岡市を押しのけて、なぜいきなり、招致運動を始めたのか。その決定経過が都民からはまったく見えませんでした。いわゆるトップダウンで、その独裁者然とした傲慢な態度に、多くの都民はあきれています。 都市の祭典としてのオリンピックを、なぜ、巨大都市東京が名乗りを上げて行わなければならないのか。そもそも東京に立候補の資格があるのか、いまこのことが根本から問われています。 石原都知事は、「ダメ元」でも夢を追いかける意義はあるなどと言いましたが、その夢のために、莫大な都民の税金を、それこそ湯水のように使ってかまわないというのでしょうか。 招致が無理は、おおかたの見方 多くの識者、関係者が、次の都議会議員選挙の直後に、東京オリンピック招致は断念せざるを得ないとの結論が出される。石原知事の「夢」は、そこでつきるが、それまでつきあわされる都民はたまったものではない。 大開発、大型公共事業展開の引き金を引くもの 知事のねらいは、じつはオリンピック招致にあるのではなく、そのムード「盛り上げ」の中で、10兆円プロジェクトも呼ばれる「都市再生事業」、すなわち大開発、大型公共事業展開の引き金を引くことにある。そう指摘しています。 あの、鈴木都知事の時代の「マイタウン東京・臨海副都心構想」の再来といえます。 そういえば、オリンピックスタジアム、選手村などは、臨海副都心建設で砂漠化した空き地周辺につくられます。メディアセンターは、大規模都市再開発を目的に、築地市場を追い出した跡地につくる構想です。しかし、築地の人々は、有害物質を大量に含む土壌汚染の豊洲で、生鮮食品が扱えるかと反対運動を展開しています。都民の憩いの場である夢の島公園も、造り直しが計画され、緑が失われると心配の声がよせられています。 ⇒ 総合計で8兆5415億円にも上るプロジェクト 重大なのは、東京都の理事者たちが、大規模開発や、大型幹線道路、たとえば羽田空港再拡張工事や、東京駅や品川駅周辺の再開発、さらには圏央道や外郭環状道路、羽田築地間のトンネル道路などなどの建設と、このオリンピック招致と開催をリンクさせていることです。 その建設構想を実現化するための予算規模を、ざっと計算してみましょう。 オリンピック関連づけされた主な道路計画だけでも、東京都の計画予算で割り出すと、合計6兆9845億円にもなります。 これはこじつけではありません。石原都知事自身が、「オリンピック開催のために最優先で取り組むべきは首都圏全体をにらんだ環状道路のネットワーク化だ」と豪語してはばからない、このことからも明確です。 JRから会場まで、新たに地下鉄を敷設するとし、それに有楽町線を延伸するとしています。これは、合計で2450億円。 そして、オリンピック開催のための、新規主要施設5000億円、仮設施設などで900億円、その他用地取得費、朝潮運河埋め立て、スタジアム地下駐車場で7220億円です。 ざっと見ても総合計で8兆5415億円にも上ります。 いったいどこから東京都はこうした投資資金を捻出するのでしょうか。 石原都知事は当初、「世界一コンパクトなオリンピック」と宣伝していました。どこがコンパクトでしょうか。また、JOCの国内選考の場で、場合によっては、「都の財政ですべてまかなう」とまで表明しています。仮にそのようなことになれば、石原都知事のオリンピック招致開催は、都財政を破滅に導く暴挙と呼ぶべき重大問題でしょう。 これが、本決議案に反対する第一の理由です。 計2000億円の積み立てを始める 石原知事は今年度から一千億円の積み立てを始めました。来年度も一千億円を積むと言っています。いったいこうした財源を都はどこから捻出したのでしょうか。 それは、結局は23区の財源から、すなわち都区財政調整財源の23区取り分を押さえつけて都が「横取り」した分、つまりは、残された5課題を未解決のままに終わらせある意味で「浮かせた分」、これを充当したのではないのか、そう考えるのは私だけではないはずです。 私が、本決議案に反対する第二の理由は、このオリンピック招致にかこつけた巨額の公共投資が、23区の財政を吸い上げ、強く圧迫することになるからです。 私は、オリンピック開催にかこつけた石原版都市再生事業は、鈴木元知事時代の「マイタウン構想・臨海副都心構想」の再来となると指摘しました。あのとき、鈴木元知事は、バブルに踊り、「裸の王様」状態になっていた、これは当時の週刊誌や新聞の見出しとなったものですが、その結末が都財政の破綻でした。破綻の付けはすべて都民に押しつけられ続けています。いまにいたっても、この付けの精算は出来ていません。 東京都への国庫支出金は減る一方です。地方交付税交付金は一円も来ない。しかも、大開発至上主義の付けで、毎年6000億円を超える公債費の支払いがあと20年間余は続くという、この東京都が、なぜいま、巨額の財政支出をはかってまで「オリンピック」なのでしょうか。いまや、三選を果たした石原都知事自身が、「裸の王様」化しているのでは。私にはそう見えてなりません。 ⇒ 財政破綻は引きづり続けている 昨06年5月、東京都が、ある意味で赤字隠しのためにつくった「臨海関連第三セクター3社」がとうとう経営破綻を来しました。これは、05年3月の産業労働局所管の「臨海三セク2社の破綻に続くものです。 石原知事は、この問題について、「前任者の責任」の一言で、知らん顔を決め込みました。 都の処理策では、都の出資金と借金払いのための貸付金合計381億円を放棄し、そのうえで、新たに3社を統合した新会社に300億円相当の土地を現物出資し、ひきつづき都が第三セクターの経営を維持するとしています。 特別区議長会と区長会=特別区協議会も出資金が「不良債権化」 じつは、この第三セクターには、特別区議長会と区長会からなる、特別区協議会が、各区の負担金から3億円を「流用」し、出資をしていたことが明らかにされています。この出資金も返ってきません。 また、特別区協議会は、出資のほかに、第三セクターの1万5千200株の保有してきました。この損失は、約7億5千万円前後となるといわれています。 同協議会は、財団法人だから、出資したこと自体に違法性はないと、とんちんかんな言い訳をしていますが、これはこれで重大問題です。 この一事を見ても、東京都の財政破綻はなんら解決していない問題であることがわかります。そして、こうした東京都の財政破綻の付けはすべててにわたり23区の財政圧迫に連なってきているのです。石原都知事のオリンピック招致にかこつけての巨額の公共投資の拡大路線は、都財政を再び破綻させかねない重大問題です。本決議をあげることは、それを歓迎することにつながるものであり認められません。 都の財政は、23区都市税で成り立っており、それを都は使い込んできた 私は、今決算委員会において、東京都こそが、23区からの「都市税」に大きく依存した財政運営を行っている、このことを、まず指摘しました。つまり、23区域内から集まる調整3税や都市計画税をはじめとする「都市税」を、都の大都市事務以外の府県事務や都の独自事務などに使い込んできたことを指摘しました。 そして、大都市事務として行ってきた医療や病院経営、都営住宅などから「手を引き」つつ、福祉関連事業は、補助事業を含めて、次々と削減・縮小、あるいは23区への事務事業移管を行いつつ、その結果として、大都市財源を、一気に石原版・大型開発至上主義に基づく大開発、巨額投資に投げ込もうとしている。すでに毎年1兆円を超える公共事業投資を行っていますが、その倍以上にもなるであろう巨額投資を、オリンピックをてこに行おうとしている、ここに東京オリンピック招致、開催運動提唱の、最大のねらいがあることを指摘しました。 8月の財調方針・23区各区配分の決定を見て驚きました。 まず都の福祉関連補助事業が、次々と財調算入されました。これは、さきに指摘した「流れ」に基づくものですが、つまりは都の福祉切り離し政策の実行を意味し、各区が実施し続けるかどうかはお任せしますという無責任なもので、都区制度改革以降、多少は影を潜めていた、「垂直調整」の復活と呼んでいいでしょう。 調整率55%内に、5%の特別交付金枠をいきなり設定してきました。 この特別交付金は、まず使途基準が示されず、誰が何のために使うのかがはっきりしていません。 東京都側がつかみ金として、恣意的に特定の区にだけ支出することが出来るように仕組まれています。なぜこのような制度改悪がいきなり持ち込まれたのか、それを受け入れてきた区長会は、ほんとうに問題です。 そして、北区はあえて区議会に説明しないですませようとしましたが、その特別交付金77億円が、なんと、区内の半分が大型再開発区域という港区に支出されるということがわかったのです。つまり、都の大型開発最優先主義を先行的に実施する港区に、23区財源を集中化させるという構図がここで浮上したわけです。 これは何を物語っているのでしょうか。東京都は、都区制度改革を踏みにじっておきながら、都区財政調整による23区側の財源を、オリンピックをいわば起爆剤とした大開発、大型公共投資の財源にしようとしてきた。その変質化を迫ってきたと言えるのであります。 財調財源が国からも都からも吸い上げられれば、各区の一般財源圧迫はいっそう進み、区による福祉、健康、教育などの後退につながることは明らかです。 ここにも、石原版・オリンピック招致・開催運動と大型公共投資至上主義の弊害が生まれてきたことを強く指摘するものです。 また、こうした吸い上げを許し続ける結果として、23区は、巨額の積立金を構えなければならなくなっている。このことを私は、区長会が「富裕団体ではない」と反論するパンフレットから取り上げたことを述べておきます。 石原都知事のオリンピック招致、開催の提唱は、このように都区間の行財政上の一連のルールをもゆがめるところまできています。これが本決議案に反対する第三の理由です。 ⇒ 「オリンピック招致でまちづくり推進」はほんとうに正しい発想か? 私はここで、本決議案が指摘する西が丘周辺から十条地域にかけてのまちづくりについて触れておきます。 西が丘にあるスポーツ科学センターやサッカー場、あるいはナショナル・トレーニングセンターと、JR十条駅までの関連地域を、この際オリンピック招致にかこつけて、再開発や、各種まちづくりを誘導し、実行させよう。こうした考えが、決議案には見られます。 しかし、ふれてきたように、東京都の大開発至上主義では、北区や十条がかかえる、たとえば埼京線地下化を軸に据えた駅周辺の開発や、防災まちづくりなどの面開発、さらには旧岩槻街道の拡幅などに、必要な財源は回ってこないのです。現実に、田端の区画整理事業などに対する予算は減少し続け、財源は枯渇してきています。 仮にオリンピックに連動させる形で、西が丘から十条駅へのアプローチとして、つまり連絡道路として、いくつかの商店街を賑やかにするといった事業が展開されるかもしれませんが、それはその程度のものに過ぎず、むしろオリンピック招致や、関連大型公共投資等のしわ寄せを、私たち「周辺区」の区民は負うであろう、つまりはその犠牲を強いられるであろう、そのリスクの方がはるかに大きなものになる、このことを強く指摘しておくものです。 石原都知事になってから「市民スポーツ」の基盤整備は後退の一途 予算も激減 私は反対討論の最後に、東京都のスポーツ振興について述べておきます。 オリンピックが、スポーツの祭典であり、トップアスリートたちの競技技術の進展が、やがては生涯スポーツ、あるいは市民スポーツの発展に寄与するものであることは疑いのないところであります。 しかし、トップレベルの競技スポーツの発展と、市民スポーツの発展は、車の両輪であっても、そのうちの市民スポーツ、生涯スポーツの発展の基盤は、あげて、基礎自治体がつくるべきものであり、そこに手が入らない、力を入れない状況が続いていれば、スポーツの貧困状態は克服できないのであります。 ⇒ じつは、東京都と23区は、日本の中で一、二位を争うスポーツ貧困地域なのであります。 このことは、人口比スポーツ施設数比較ではっきりとわかります。 たとえば体育館は、東京は一・六九カ所に対して、埼玉県は二・三八カ所あります。競技場や、各種スポーツ用グランドの数を比較すると、東京都と二十三区内は、他県、他市に比べてきわめてスポーツ施設が少ない地域となります。十万人当たりの施設数で比較すると、球技場では一・九三カ所ですが、埼玉県は四・二四カ所というように、そのレベルはきわめて低いのです。 これは、長年にわたって、23区側がスポーツ振興策の主要を東京都任せにしてきたことに原因があります。都区財政調整の中に、スポーツ振興に関わる諸施設の確保や振興策そのもを算入化してこなかったために、区側が独自に生涯スポーツに必要なスポーツ施設等を整備してこなかった、ここにも原因がありました。 学校体育館を社会人に開放するという、たとえば「地区体育館」方式ですが、これなどはいわば、区側の「苦肉の策」であるといえるでしょう。 このたびその建設が計画された北区のサッカー場は、正規の広さを確保したグランドとしては北区で初めてのものです。未だに、サッカー場が1面ももてない区が、けっこうあります。それほど、スポーツ貧困状態が長く続いてきたのです。 しかも、その任せたとされる東京都におけるスポーツ関連予算はどうなっているか。これがまた悲惨な状況になっています。 石原知事が誕生した96年のスポーツ関連予算はそれでも56億円でした。それが昨06年度では17億円に激減しています。10年間でなんと69%も減少しているのです。 さらに、都立のスポーツ施設は6館から4館に。都内のスポーツ施設は161カ所から137カ所に。面数では525面から374面へと減らされる一方です。 こうした自治体としてのスポーツ振興策を放棄しておいて、オリンピック招致などとは、私ならば恥ずかしくて言えないことです。 スポーツ振興を真剣に考えるならば、東京都は、まず自らの姿勢を改めるべきです。これが、本決議案反対の第四の理由です。 以上、本決議案になぜ反対なのか、るる理由を述べて参りました。 石原都知事に踊らされてはならない。このことを強調しまして、議場の皆様が、本決議案に反対することを呼びかけ、討論を終わります。 ※この「決議案」は、事前の幹事長会では「不調」に終わっていたものを、自民、公明、民主などが、政調会に持ち込んできたものでした。本会議場では、ほかに「あすか」などが賛成したために、可決されたものですが、いま、町内会の回覧板などを通じて、「思想動員」のための署名運動などが進められています。石原知事に踊らされて、北区が、意見の分かれた問題を、町会や自治会に押しつけるといったことも、自主的組織に対する干渉として、批判されるべき問題といえます。 ⇒ |