映画ライター・イシカーしゃんが1ヶ月に観る試写は40本以上
1日に3本のハシゴなんてザラなんす
映画のゲップと映画の便秘に悩まされるイシカーしゃんの試写日記
観まくれ!書きまくれ!
だって、
シネマテラピィに質問・相談が来ないんだも〜ん(涙)
今後の映画選びの参考になるかもネ
シネビ
INDEXから検索しちゃってみっ
おまけコーナー
月間シネマ日和もオープン!

おも〜くなったので、仕切り直してみました
2/27〜4/23まで


2001年5月16日(水)雨

久しぶりである。
小学校の時に剣道の道場に通っていたのだが、時として、しばらく行かなくなる時期がままあった。
それが心機一転で久しぶりに行ってみると、妙に気恥ずかしい。
そんな気分なんであるが、今日は試写を見ていない。
この3週間ばかりの間には、GWを挟んで20本ばかり観たが、シネマ日和の体裁を変えることにした。
シネマ日和の映画評が、どうも、仕事の延長になっていたきらいがあるんで、もっと真摯に書くことにする。

ものかき屋が「真摯」と言う場合は、仕事的な規制から自由な、本音で書くってゆーことである。
へっぽこ嬢が「
挑日記」で、その日に体験した事を書き連ねているので、僕は、その日の想いを書くことにする。

日曜日に娘と、ビデオに録画しておいた「ナビィの恋」を観た。
沖縄の孤島に住む婆さんの元に、50年ぶりに初恋の男が帰ってくるという物語。
婆さんはかつて、占いによって初恋の男との仲を裂かれ、男はブラジルで生活していたのだが、
別れ際に「きっと、迎えにくる」と言った約束を果たすために、50年ぶりに故郷の島に帰ってきたのだ。
もちろん、婆さんには夫がいる。
それでも婆さんは、再会した初恋の男と連れ立って行くことを選ぶ。

似たような映画で「もういちど」というオーストラリア映画があった。
この映画も、初恋の男と40年ぶりに再会した老嬢が、夫を捨ててしまう話だった。
「ナビィの恋」の老夫は、老妻の恋心を知って、何も言わず送り出すのだが、
「もういちど」の夫は、嫉妬で醜態をさらす。
それでもラストでは、病を隠していた妻の死に際して、妻の初恋の男と会った夫は、
共に弔いの涙を流すのだったが・・・。

チャン・イーモウ監督の「初恋の来た道」という中国映画は、
初恋の男と、その生涯の最後まで連れ添った老母の、その初恋の出来事の話だった。
この映画は本当に清廉な涙が、止めどもなく流れて、心を洗われる。

帰宅時にスポーツクラブで泳いで、サウナに入っていると、終了15分前に「蛍の光」が流れる。
ボーとしたカラダでその調べに聞き入るっていると、小学校の卒業式を思い出し、
その時の心の有り様に、ありありとトリップする。
あの時の、初恋の少女に向けられた恋心は、創造の源泉を泳いでいたように、思われるのだ。
12歳の僕は、まだ性愛を知らなかった。
12歳の少女はすでに月経を迎えていたはずである。
しかし12歳の少年は、まだ射精を知らなかったのである。

恋心の焦がれるような熱は、身体の中を未知のエネルギーで漲らせ、いずれは性欲をたぎらせる。
ロウソクの火が光を生み、その一方では煙を出すように、
恋の炎は心を歓喜の光で満たしながら、その下方では煙煤のように精液を充満させる。
しかし、恋の炎に焦がれながら、まだ射精のスベを知らない少年期の、ほんの短い期間に、
人間の男というやつは、光だけに満ちた神秘のエネルギーを体験しているんじゃないだろうか。
その光のエネルギーによって男は、人間にとっての崇高な理想を垣間見なかっただろうか。

50年間も経ってなお、初恋の男を選ぶ老婆たちは、そんな男たちの、崇高な理想像を忘れられないのではないだろうか。
そうでなきゃ、長年連れ添った夫をいとも簡単に捨ててしまうなんて、その夫からすれば、あまりにも辛すぎる。

日曜日には、「ナビィの恋」の後に「ラブ&ポップ」という日本映画も観た。
援助交際で稼ぐ女子高校生たちの危うい日常を軽妙に描いた映画だ。
この「ラブ&ポップ」には、女子高校生に執心する中年男たちが登場するが、
少女らに恋をするような同世代の少年たちは、まったく登場しない。
少女たちにはそれなりに同世代の恋人がいるらしいのだが、「キスマークつけられちゃったー」とかという、
少女同士の雑談の中にしか出てこない。
少女たちにとって同世代の恋人は、愛なんてものの対象ではもちろんなく、ブランドの小物と同レベルの存在らしい。

男の崇高な理想像、そんなものは「ラブ&ポップ」の中では完全に存在しない。
僕の娘はもうじき9歳になる。
あと2〜3年もすれば、月経を迎え、恋もするのだ。
しかしあと3年経っても、僕は「蛍の光」を聞いて、自分の12歳のときの恋心を、
ありありと思い出し、あの頃に垣間見たはずの崇高な理想像に、想いを馳せよう。

2/27〜4/23まで

ご意見・ご感想は
こちらから

ボヨヨン・マガジントップへ