Monochrome theater 〜色無き世界より〜
file.013 : 北の玄関、上野


「蒸し蒸ししとるな・・・」

この時季、そんな声がどこからともなく湧き上がりそうなほど蒸すのが「上野駅地平ホーム」。
13番線〜17番線までがこの地平と呼ばれる1階にある。
かつては東北・常磐方面への在来特急・急行が発着しホームも20番線まであったが、新幹線上野延伸に関連し18番線までとなった。
1997年には「あさま」号廃止に伴い特急本数が減り、余裕ができたため18番線も閉鎖された。

そんな輝かしい歴史をもちつつも、暗い話しが続いている上野駅地平ホームの一コマ。。。



date : 05.08.07 上野駅13番線


ズラっと並んだ昔からの「掛札」。
昔は手書きだったのだろうが、さすがにそのような昔ながらのものは無い。
国鉄時代と比べて変わったことが「昼行特急」ではなく「夜行特急」の案内が大半を占めていることだろうか。
それもそのはず、新幹線開業で東北特急はほぼ全てが廃止されたからだ。


寝台特急も2006年を境に環境が変わった。
2002年の「はくつる」廃止で札幌・青森(上越線経由)・金沢の3列車に限定された寝台特急。
利用者は減少の一途をたどり、この年、多客期の象徴でもあった「エルム」号が廃止された。
翌年には「北斗星」臨時列車や「北斗星3号」の廃止にまで至る。

写真はそんな出来事が起きる前年、2005年8月の13番線の光景。
掛札がズラッと並び華がある光景だ。「エルム」が混ざっていないものの立派なものだ。



date : 05.08.09 上野駅13番線


19:09、「エルム」が推進運転で到着するシーン。担当車掌と推進運転士が手を挙げ挨拶を交わしている。
夏場のこの時期、清掃作業員は皆半袖姿でとても夏らしい光景だ。
ホームに目をやれば、かなりの掛札がかけられていることが分かる。

この翌年、「エルム」は最後の運転を迎える。
2008年3月改正では「北斗星3号」運転休止へと流れが進むのだが、これだけではなく、もう一つ消えた物がある・・・
それが何を隠そう「掛札」である。

「北斗星」の掛札が減本でとうとう消えたのだ。
ズラっと並んだその光景がとても上野らしかったのだが、その光景はすでに過去のものとなってしまった。
掛札はレール方向にしか掛けられなくなり、今の13番線はただの在来線ホームと化してしまっている。


そんな上野駅13番線。
現在は「カシオペア」「北斗星」「あけぼの」「北陸」の4列車と普通列車が発車している。
写真を撮影して4年ほどしか経ていないのに、大分様変わりしてしまったのは驚きでもある。

逆に今から4年後、おそらく東北縦貫線が開業することとなる。
この開業で東北線をはじめ、高崎線・常磐線の列車は東京方面へ直通することになろう。

明るい話ではあるが、勿論悪い話もある。その筆頭が上野駅の地平ホームを全面閉鎖するという計画だ。
ただしまだまだ薄い話し。まだまだ噂に過ぎない程度だ。
しかし、もし、これが遂行されれば東京の北の玄関として、ターミナル駅として君臨してきた上野の象徴でもある広大な頭端式の地平ホームが消えるかもしれない。
それだけではない。上野駅の地平ホームには他にも今では珍しい構造物などが多くみられる。
通称「船」と呼ばれる駅員自らが改札をする特急改札口、都内ではほぼ見れなくなった昔からの低床ホームや荷物積載用ホームなどなど。
地平ホームが無い上野駅を見たいかと言われたら絶対に「NO」の一言だろう。
だが、この計画を理解出来ない訳でもない。かなり驚きはしたものの総合的な観点から見れば妥当な判断なのだろうと。



東北縦貫線が開業すればアーバンネットワークのように、中心駅となる東京駅を基本途中駅としたダイヤが採用されかねない。
そうなれば、上野駅もただの途中駅に過ぎない。
昔から続いた構図があと数年で崩れ去るかもしれないだけに今後も「上野」という駅の魅力を追及していきたいと思う。
ご覧のみなさんも、今度、上野駅を訪れた際はいつもと違った目線で見てみてはいかがだろうか。


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