Monochrome theater 〜色無き世界より〜
file.005 : 最後の水田駅



date : 05.12.17 北鴻巣


2005年12月17日、私は北鴻巣にいた。


北鴻巣駅は埼玉県の鴻巣市に駅を構え、文字通り鴻巣駅の北に位置している。
当駅へはこの頃に頻繁に訪れ、数多くの列車を撮影していた。

なかでも気に入っていたのがこのホームからの“眺め”である。

北鴻巣駅のホームから南西側一帯は水田地帯でホームから富士山を拝む事も出来る。
首都圏のJR近郊通勤路線の駅では最後の水田駅である。
そんな訪れた日も、富士山が顔をのぞかせていたのをよく覚えている。


首都圏の駅でホームから水田が広がる所はほぼ皆無だろう。
地方駅でも、道路や駐車場、住宅などで水田が広がる風景はそうそう無い。

では、これ程までにスッキリした水田を眺める事が出来る駅が出来たのは何故だろうか。
北鴻巣駅が開業したのは1984年(昭和59年)11月3日のことである。
まだ開業から20年余りしか経っていないのである。

実は、開業前は両側が水田で、国道17号線まで一面の水田であったのだ。
だが、線路東側の開発が1970年代から始まり、居住区が作られた。
それと同時にこの北鴻巣駅も開業したのである。

結果、このような極端な街が形成されたのだ。
そういった意味では、西側に広がっていた水田は鴻巣の原風景であったとも言えると思う。



date : 06.02.04 北鴻巣


しかし、この風景は過去のものとなってしまった。
2006年(平成18年)より、土地区画整理事業が始まったからだ。
大規模なもので水田全てがその事業範囲となっている。


2008年4月、とうとう第一期街開きが行われた。
現在は跡形も無く、かつてのような広大な水田は消えている。
また、マンションの建設などで富士山も見えなくなってしまった。
もう昔のような穏やかな駅では無くなってしまったと言えよう。


関東の駅でも数少ない気に入った駅であった“北鴻巣”
高崎線の駅で唯一富士山を望むことが出来た駅“北鴻巣”
その情景は今も、これからも人々の心のなかで生きつづけていくことだろう。
私はそうであってほしいし、そうしていきたい。
なにせ、91年頃は北鴻巣駅利用者の一人であり鴻巣市民であったのだから。


北鴻巣駅。それは歴史が浅く、近代的な駅。しかし、そこから臨む景色は首都圏随一の眺めであった、、、


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